今日本中で一番注目を集めている話題、自民党総裁選。現総理である岸田文雄氏が出馬しないことで、さらに話題となっている。そして今回は、総裁選有力候補3名、小泉・高市・石破氏が思い描く、日本の将来についてのまとめ。最後まで御覧いただけたら幸いである。
候補者の中で最も若い、小泉氏
今回の候補者9名の中で最も若い小泉氏だが、党所属国会議員の支持動向調査では、352名に調査を実施し、最多の45名の議員から支持を得ている。しかし、47都道府県で開催された党員調査では、16%と、全体3位の結果に。党員票と議員票を合わせた結果でも3番手につけるなど、高市・石破氏に少し届かない結果となっている。
そんな小泉氏の思い描く日本の未来は、世界を相手に、しっかりと戦っていける強い日本の実現だ。小泉氏は、「明るい日本を創る構造改革」と銘打って、3つの政策を公約として打ち出している。
1つ目「強い経済」
スタートアップ企業の支援強化だったり、イノベーションを促進するための大学や教育制度の見直しに力を入れることを宣言。さらに、物価高対策、年金生活世帯・低所得世帯の支援、地方産業の支援などにもすぐさま着手し、日本経済の成長を促す。
2つ目「強い外交」
日米同盟を基軸に、豪州などを含めた各国とのネットワークの強化をすると共に、首脳レベルの戦略的外交の強化、日本独自の防衛力の強化も打ち出している。
3つ目「憲法改正」
「憲法は、時代に合わせて変えていかなければならない」と彼は言う。彼は、自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消、教育充実の4項目は早急に取り掛かると断言している。
上記の政策に加え、1年以内に実現させる政策も明示。「政治改革」、「規制改革」、「人生の選択肢の拡大」を早急に実現を約束。この中には、政治資金の透明化、ライドシェアの完全解禁、年収の壁の撤廃、夫婦別姓制度の導入など、非常に現代的な策が多数存在し、注目を集めている。
個人的にはかなり理想論が多いと感じるが、良い政策も多い。一度彼のような若い人材に日本の未来を賭けてみるのも面白いのではないだろうかと思う反面、実施したあとの日本の未来が読みにくいなどの詰めの甘さが支持率が届かない原因なのではないかと推測する。
有力候補3名の中では紅一点の高市氏
高市氏は、党員調査では2番手につけ、かなりの支持を党内では得ているが、議員票では5番目と、議員全体の支持としては物足りない。党員票と議員票を合わせた結果では、石破氏と並び1位で、今後どう議員全体にアピールしていくかが課題となる。
そんな高市氏の思い描く未来の姿は、強い自民党、成長する日本をつくることだ。総合的な国力の強化を目指し、様々な政策を打ち出している。
1つ目「危機管理投資」と「成長投資」で強い経済をつくる。
農業、エネルギー、防災、サイバーセキュリティ、医療、人材に投資し、強い経済の実現を図ることを宣言。
2つ目 地方の伸び代を活かす
具体的な策は不明
3つ目「全世代の安心感を日本の活力に」
進学、結婚・出産・子育て、昇進、高齢者支援などにより、「働く意欲を阻害しない」「努力した人が報われる」制度を整備。
4つ目「防衛力」と「外交力」の強化で日本を守る
主体的な外交で、「自由で開かれたインド太平洋」に米国を強く関与させ続けることを目指し、新たな戦争の容態に対応した防衛力の導入も宣言。
5つ目「令和の省庁再編に挑戦」
「内閣情報局」「対日外国投資委員会」セキュリティに対する一元的な権限を持つ機関の設置、「復興庁設置法」の改正、「情報通信省」や「環境エネルギー省」への改変
6つ目 今を生きる日本人と次世代への責任を果たす
「日本人の手による新しい日本国憲法の制定」「皇室典範の改定」
7つ目 信頼される自民党、強い自民党へ
お金の流れの属人性を撤廃し、公平・公正な仕組みの構成、適材適所のシステムの制定
以上が打ち出している公約になるが、個人的には、国会議員のため、もっと言えば自民党議員のための公約にみえるものが多いように感じる。今の国民が必要としているものが全くわかっておらず、具体的な政策も微妙だ。そういった部分が議員全体の得票に影響しているのではないかと考える。
今回の総裁選が最後の挑戦と宣言した石破氏
石破氏は、党員調査では26%で堂々の1位を獲得。しかし、議員票では高市氏に次ぐ6番手と、なかなか厳しい票数に。前述の通り、合計では高市氏と並ぶ1位であり、最後の挑戦にして好スタートを切ったと言えるだろう。
そんな石破氏が掲げる公約は、「5つの守るで、未来を守る、未来を創る」である。
1つ目「ルールを守る」
党改革、政治改革を実施し、政治資金のルールを見直し、不記載議員の反省を求め、選挙制度を見直す改革をリードすることを明言。更に、総裁選挙における党員投票のウェイトを大幅に引き上げも実施。
2つ目「日本を守る」
憲法改正、外交・安全保障に関わる制度を制定。拉致問題の解決の足がかりを作る、アジア版NATOの構築、拒否的抑止力の飛躍的な向上を目指す。
人口減少対策についても様々な策を講じる。「手当より無償化」に基づいた政策
子育てにあらゆる人が手伝える社会「柔らかい社会」の創造、高専・国立大の授業料無料化、給食無償化、経験の貧困の解消など
また、経済・財政についても多様な策を想定している。ヒト・モノ・カネの東京一極集中化をデジタルインフラや税制を用いて抜本的解消し、文化都市を各地に創ることによって、強靭な日本を創る。「経済あっての財政」との考え方に立ち、成長型経済の実現を図る。半導体、AIを国内で整備、中小企業の高付加価値による賃上げの実現、安全な原発の活用、日本経済のエネルギー制約からの死守など。
3つ目「国民を守る」
実質賃金、生産性の向上を目指し、「稼げる日本」への改革の促進、デジタルインフラの整備、定年制・非正規雇用の撤廃、兼業・副業規制の撤廃、最低賃金の引き上げを約束。
社会保障制度改革を進める。具体的には、高齢者・女性・障害者・外国人の就労促進、データに基づく医療行政の強化・見直し、多様な人生の選択肢の実現、データに基づく医療費の適正化、教育無償化などセーフティネットの構築を目指す。
防災省の創設、事前防災の徹底、巨大自然災害への対策を万全化なども約束。
4つ目「地方を守る」
「日本の真の価値は、地方と中小企業にこそある」との発想に基づき、地方創生作を講じる。食料安全保障も約束し、農林水産業の生産者が安心できる環境の構築、自給率の低い作物の国内生産強化、畜産業の国産化、持続可能で強靭な農林水産業の構築。
5つ目「若者・女性の機会を守る」
年齢・性別・経済状況を問わない学びの実現、女性活躍・女性参画の促進など。
以上が公約であるが、個人的な感想として、約束事・目指す内容が多すぎるが故、非常に散らかった文章になった印象を持ち、理想が高すぎて非常に不信感を抱いてしまった。さらに、党員票の大幅引き上げや、政治資金不記載議員への対応の甘さなどが、議員票の獲得数を下げているのだと推測する。
いかがだっただろうか?個人的には、高市・石破氏は国民よりも自民党議員の有利な国会を作ろうとしているように思え、この3名の中では小泉氏が一番良いのではないかと思う。もちろん異論も認めるし、小泉氏のデメリットも理解しているので、一概にこの人しかいないとも言えない。そもそも議院内閣制を敷いている日本では総理を選べないので、議論したところで無意味なのではあるのだが。なんにせよ、自国のトップになる人が誰になるのか、楽しみである。
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